造作に関する感受性
ひとの顔が前にあっても、あるなあるなと思うばかりで、うつくしいだのおもしろいだのという感興を催すことがほとんどなかった。造作に関する感受性がとぼしいのだろう。または、造作というものに関してはうつくしいおもしろいの基準を世の基準にひっぱられることが多いので、それが悔しくわざわざ感受性をとぼしくしているのだろう。あまのじゃくなことではある
川上弘美『あるようなないような』(角川文庫)P.62より。
これを読んで、わたしも造作に関する感受性はとぼしい方かもしれないなあ、と思ったのでした。友達に「あの人かっこいいよね」と同意を求められても、整った顔立ちだなーとは思うものの「かっこいい」とは思えずに、曖昧な返事をしてしまうことになったりとか…そういうことが、なかなかに多いので。
「かっこいい」という言葉が、人の書いた文章やら何やらを読んだ時に心に浮かぶことはけっこうあるのだけれど、人の外見に関してその言葉がぱっと浮かぶことはほとんどないのでした。
- 作者: 川上弘美
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