吉本ばなな『TUGUMI』

TUGUMI(つぐみ) (中公文庫)

TUGUMI(つぐみ) (中公文庫)

食うものが本当になくなった時、あたしは平気でポチを殺して食えるような奴になりたい。もちろん、あとでそっと泣いたり、みんなのためにありがとう、ごめんねと墓を作ってやったり、骨のひとかけらをペンダントにしてずっと持ってたり、そんな半端な奴のことじゃなくて、できることなら後悔も、良心の呵責もなく、本当に平然として『ポチはうまかった』と言って笑えるような奴になりたい。(P.73)

 ふと、活字倶楽部04春号で、伊坂幸太郎さんが「見た目とかではなくて、かっこいい人が好きなんです。どこか超越してしまっている人が好きで、そういう人がよく出てくると思うのですが」とおっしゃっていたことを思い出しました。

 吉本ばななさんの『TUGUMI』に登場するつぐみも、「どこか超越してしまっている」とっても魅力的な女の子だな、と。