スカートにガムテープ

 山田詠美『風味絶佳』を読んだらキャラメルが食べたくなったなあと思いながらぼけっと歩いていたら、通りすがりの人に「あの、すみません、スカートにガムテープついてますよ」と話しかけられました。出かける前にamazonから届いたダンボール箱開封をしていたのだけれど、その時にガムテープの切れ端がスカートにくっついたことに気づかず出歩いていたらしい。は、恥ずかし……!
 恥ずかしさのあまり慌ててしまって、指摘してくださった方に思わず「すみません」と言ってしまいました。謝ってどうするんだ。お礼言わなきゃいけない場面だろうに。

梨屋アリエ 『ツー・ステップス!』(イラスト・菅野由貴子) 岩崎書店

ツー・ステップス! (わくわく読み物コレクション)

ツー・ステップス! (わくわく読み物コレクション)

どうか、うまくとべますように
みんなの流れにのれますように
みんなと同じかっこうで

 主人公、小学五年生の小野崎藍は、「オノザ」と呼ばれています。本当はその呼び名があまり好きではないのですが、下の名前で呼ばれては、藍が所属している仲良しグループのリーダー格「アイアイ」こと今井亜衣とかぶってしまうので、仕方がない、と思っています。

 みんな、たいてい、アイアイと同じものがほしくなる。でも、全部そっくりなひと真似をしてはいけない。ほしいときは、色違いやデザイン違いを選ぶのだ。もしもどうしても同じものがほしいときは、四人で相談して、全員で同じものをそろえることにする。それがわたしたちのルールだ。(P.38)

 小学生に人気のブランド「ファン・ガル」のマフラーを四人でおそろいにしよう、と決めたものの、藍は、自分の親はおねだりしただけでそれを買ってくれるほど甘くはないからとあきらめていました。ひょんなことから買ってはもらえたものの、アイアイのマフラーが本物そっくりの偽物で、藍のものが本物だったことで、仲良しグループからはずされてしまいます。
 ああ……「小学校高学年の女の子の仲良しグループ」ってどうしてこんなにややこしいんだ……と、自分がその中にいた頃のことも思い出して、ため息をついてしまいました。
 場の雰囲気を見極める、というのは、年齢に関係なく要求されると思うけれど。まだ「子ども」と呼ばれる年齢の、むきだしで移ろいやすい感情を考慮しながら動かなくちゃいけないというのは、大人とは違ったしんどさがあるんじゃないだろうか。学校って怖いところだ、とつくづく思う。

 梨屋アリエは、あんまり作品の中で使うモチーフを一貫させない、って印象があります。冒頭の詩とか、体の弱いお姉ちゃんとか、「下品な笑い方」と注意されることとか、物語の最後までキーワードとして機能するのかな?と思った事柄がいくつかあったのだけれど、ある程度登場しただけでそれっきり、なんですね。

 こう思ってしまうのは、これも伏線だったのか!と思うような事柄まで伏線として回収される話に慣れちゃったから、かもしれない。