バッテリーにはまり中。

バッテリー (2) (角川文庫)

バッテリー (2) (角川文庫)

 人は平気でからかうけど自分がからかわれるのは許せなくて、自分は命令口調のくせに人に命令されるのはすごーく嫌がる。・・・主人公、巧の辞書に「妥協」とか「協調」ってたぐいの言葉はないんだろうな。舞台となっている中学校は、私の通っていた中学校を思い出させます・・・なんかやたらと校則厳しそうで、閉鎖的なところが(笑)。巧の確かな才能と努力に裏打ちされた自信は、平気で周りを傷つけて、支えてくれる大事な人さえ怒らせて・・・あーもう君の辞書に妥協とか協調とかって言葉はないのかー!!って言いたくなります。ないんだろうけど。
 作中で、そんな巧が3年生の先輩から言われる台詞に、「おまえさえ、入部せんかったらよかったんだよ。おまえみたいに言いたいこと言うて、やりたいことやって・・・好きかってやりやがって(中略)ふざけんなよ。なんのがまんもせんといて、自分の思いどおりのことやって・・・野球が好きだって・・・ばかにすんな。ふざけてるよ」というのがあるのですが、そこはふざけてるのはあんただー!!と言いたくなりました・・・。巧の存在は、確かにずっと我慢してやってきた人にとっては・・・鼻につくとうか腹が立つというかぶちのめしてやりたくなるのかもしれないけど、でも巧がそういう人格なのと、その人が我慢してきたことは関係ないーっ手口が陰険なんだよーって怒りたくなりました(笑)。

 最後にあとがきから引用。

それでも、巧を変えることはできなかった。傲慢で稚拙なままでなければ、ほんの僅かでも、巧が自分の感性や欲望や想いや身体感覚を裏切ったら、この物語は放り棄てられた空き缶ほどの価値もなくなる。作者として、それだけは分かっていた。