白狐魔記 源平の風(斉藤洋)

源平の風 (白狐魔記 1)

源平の風 (白狐魔記 1)

なぜ、なぜと問われれば、答えられぬところまでいきつくものだ。(P.88)

 「人間のことをもっと知りたい」と思ったきつねは、白駒山の仙人の弟子となり、人間に化けられるよう修行をし、「白狐魔丸」という名を与えられます。そこに行き着くまでにもきつねはいろんな人に出会ったり、戦場を目の当たりにして、どうして同じ人間同士が殺しあうのかと疑問を持ったりします。修行の過程もちょっととぼけた仙人と生真面目なきつねのやりとりが微笑ましくておもしろく読めました。
 そんなきつねは、兄の頼朝に追われ、落ちのびてゆく源義経一行に同行した時も、どうして兄弟が争わなければならなくなったのかと、一生懸命考えます。
 どんな事実もただ鵜呑みにするのではなく、自分で考えて納得できる答えを見つけ出そうとするきつね。きつね君の目から見た世界をもっと知りたいので、続巻を読むのが楽しみです。