西の善き魔女外伝1 金の糸紡げば(荻原規子)/C・novels fantasia

 天文学者の父親ディー博士と暮らす、八歳のフィリエルがルーンと出会った頃の物語。家畜の世話や冬至のお祝いなど、描き出される日々の暮らしは、自分もその場にいるつもりになって読めるくらいに鮮やかです。
 数の計算をすることが、「呼吸をすることと同じくらい日常的なふるまい(P.157)」であるルーン。ディー博士にとってただ一人の、そしてとびっきり優秀な弟子である彼に、娘である自分の居場所を取られたと思ってしまう、複雑なフィリエルの心境がうかがえて、とってもよかったと思います(あんな物騒なことを考えるまでに思いつめていたとは)。