優しい音楽(瀬尾まいこ)
- 作者: 瀬尾まいこ
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2005/04
- メディア: 単行本
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瀬尾まいこさんの作品って、食事のシーンが本当においしそうに書かれていますねー。
・・・作中の、あの湿疹のくだりは読んでいて恥ずかしくなって赤面して、ちょっと飛ばしてしまいましたが(笑)。
『タイムラグ』は・・・不倫相手に子どもを預ける話っていってしまうと、とんでもなくどろどろな話に聞こえるなぁ・・・でもちょっぴり笑えるところもあって感動もできて、最後には読んでよかったって思える。
私が高校時代に付き合っていた男の子は、恐ろしく本を読む子だった。休み時間も、文庫本を読んで教室で過ごしていた。当時、幼かった私は、そんなクールな彼が大好きだった。教室のごたごたや、他の男子の騒動には関わらない。さらりとした顔をして、いつも平然と本を読んで過ごしていた。読書家だけあって、彼の話は豊富で、奥深かった。私の知らないことをいっぱい知っていた。最初、私もそんな彼の話に夢中だった。だけど、話せば話すほど、だんだんつまらなくなってきた。実体験のない話は中身がない。彼の話はただの知識の披露に過ぎなかった。高校生活の中には本の中以上にすごいことがある。本の世界みたいに壮大ではないし、おしゃれではないけれど、本の中より深刻で愉快なことがある。きっと彼は、そういうものに向き合う能力がなかったのかもしれない。それに気付きはじめたとき、私は彼に対して興味を持てなくなってしまっていた。(P.95)
印象に残ったのはこの部分。本の中でしか学べないこともあるけれど、実体験でしか学べないことだってたくさんあって・・・うん、両方大事にしたいなぁと思ったのでした。
『がらくた効果』は、同棲中のはな子と章太郎が礼儀正しい元大学教授のホームレスのおじさん・佐々木さんと同居することになる話、かな・・・はな子さんのむちゃくちゃな大まかさと、それに押し切られがちな章太郎と、ひたすらに真面目な佐々木さんのやりとりがおもしろかったです。