僕はかぐや姫(松村栄子)/福武書店
- 作者: 松村栄子
- 出版社/メーカー: 福武書店
- 発売日: 1991/05
- メディア: 単行本
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「少年という言葉には爽やかさがあるけれど、少女という言葉には得体の知れない胡散臭さがある(P.53)」と考えつつ、「僕」という一人称を使いつつ、裕生の自分勝手さとか傲慢さとか自意識過剰っぷりは、すごく女の子らしいというか、少女性むきだしな感じがします。
上手く言えないけれど、このお話好きです…。絶版なのがますます悲しくなってきた。再刊してくださる出版社があったら、ものすごく感謝しちゃいます。
別のことに思考が飛んじゃった箇所、その一。
作中に、裕生が机にした落書きに返事があったことから、顔も名前も知らない相手との他愛ないメッセージのやり取りが始まるエピソードがあります。思わずびゅんと乙一さんの『A MASKED BALL』に思考が飛んでしまいました(こちらはトイレの落書きですが)。
その二。
あてどなく続くであろう恐ろしい未来を、自分だけは逃れ得るのではないかと心のどこかで信じていた。(P.46)
ここを読んだ瞬間、
わたしなんか 死ねばいいと想ってた でもどこかで わたしだけが 生きのびることだけ信じてきた
この、Coccoの『海原の人魚』の一節が頭に浮かびました。