怖いよう
- 作者: 三浦しをん
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2003/10/23
- メディア: 単行本
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友達から骨折したときの話を聞かされたときにはぎゃーぎゃー騒いで耳をふさいでしまったし、小説でも怪我をするシーンが出てくると飛ばしたくなってしまうし、絵とか映像だとそれがさらに顕著で、ちょっとでも流血したりすると目をそらしてしまうのでした。大げさに反応しているつもりはないのですが、そういうとき顔をゆがませてしまうわたしの表情は、周囲からすると泣く寸前に見えることもあるらしく、「だ、大丈夫?」と心配されてしまうことになるのでした(申し訳ない)。……元々かわいくもない顔をゆがませているのだから、すごい形相になっているのだろうなあ、と想像……。
ともあれ、そんな中でも特に苦手なのが、出産関連の痛みにまつわる話なのでした。だってほんとに痛そうだから……。
中学生の頃、保健体育の時間に、奥さんの出産に立ちあったことのある担任の先生が、事細かにそのときのことを語り始めたことがありました。そのときは、ぎゃーっと叫んで逃げ出したいのをこらえて、耳を指でしっかりふさいでじいっとうつむいていました。
高校生の頃も、保健体育の授業で出産にまつわるビデオなんかを観なきゃいけないことになると、やっぱり耳をふさいで、机に突っ伏してじいっと時が過ぎるのを待っていました。周りの友達は、そういうときわたしがみっともない反応をしてしまうのを心得ていて、「もう痛いとこ終わったから大丈夫だよ」とか、声をかけてくれたりしました。ありがたいことに。
あ、これは出産関連の痛みじゃないけれど……高校時代は、保健体育のほかに宗教という関門もありました(ミッションスクールだったために)。先生がイエス・キリストが十字架にかけられるようすなんかを事細かに語りだすと、例によってわたしは耳をふさいで机に突っ伏して終わるのを待っていたものでした。
女の子がそういう風にかよわいのは、なんかかわいい、と言われたこともあるのですが……わたしの場合、「かよわい」なんてかわいらしい言葉は合わないなあ、とか思ってしまうのでした。「軟弱」ってほうがぴったりくる。人間の営みの中の怖い部分が苦手、生々しいのは嫌、痛いのからは逃げ出したいってだけだもん、たぶん。