『しをんのしおり』

しをんのしおり (新潮文庫)

しをんのしおり (新潮文庫)

「表現するというのはある意味、とてもむなしいことね。努力とか技術とか戦略とかだけではどうしようもないもの。たとえば演技で言えば、とても上手に演じる技術があったとしても、持って生まれた何かがないがために、どうしても主役を張れない人もいるわけでしょう?」
「たしかに、自力ではどうしようもないんだから、残酷なものだよね」(中略)「だけど、そういう『上手下手』とかいう明確な判断基準じゃない、もっとモヤモヤした何かに人が惹かれるからこそ、好みの多様性が生まれるとも言えるんじゃないかな」(P.26-27)