枡野浩一 『淋しいのはお前だけじゃな』 晶文社

淋しいのはお前だけじゃな

淋しいのはお前だけじゃな

 高校時代に、活字倶楽部でこの本のレビューを読みました。タイトルがいいなあ、と思って、ずっと覚えていたのです。「お前だけじゃない」ではなく、「な」で止まっているのがいいなあ、と。「お前」ってぞんざいな感じの二人称も、ここでは好ましくて。『淋しいのはきみだけじゃない』とか『淋しいのはあなただけじゃない』だったら、手に取る気はしなかっただろうな、と。
 最近になって、本屋さんで見かけて手に取ったときに、最初に目に入った短歌があんまりにもツボでびっくりしました。

肯定を必要とする君といて
平気平気が口ぐせになる


 短歌と、それに関連したエッセイで構成されている本。

 一生、結婚なんかしないと誓ったのは小学生のころだ。年齢を重ねるごとに意志は固くなっていった。自分が生まれてきたのは何かのまちがいで、これ以上まちがえたくない、正しい状態は自分が死ぬことだと思っていた(P.127)

 ここにものすごーく共感してしまいました。いちばんこういうことを考えてたのは、中学生のころかな。あ、でも高校生のころもけっこう思ってたな。……今も思ってるな(笑)。

銀色のペンキは銀の色でなく
ペンキの色としての銀色