鷺沢萠 『途方もない放課後』 新潮文庫

途方もない放課後 (新潮文庫)

途方もない放課後 (新潮文庫)

 タイトル、好きだなあ。「途方もない」と「放課後」の組み合わせが、いいなあ、って思う。
 エッセイ集。おもしろかった。
 いちばんどきりとしたのは、「援助交際に関する一考察」の項。

 この国の女子中高生たちが「気軽に」、「簡単に」、身体を売っているとは私は思わない。そんなもの、ちょっと考えればすぐ判ることだと思う。十代の女の子にとって、身も知らない中年(であるとは限らないらしいが)男性との性的交渉は苦痛以外の何物でもないはずだ。「気軽に」、「簡単に」売れるような代物であるはずがない。

 この言葉が流行りだした(?)頃、わたしは小学生で、そのときから今まで、そういうことを遠い世界のできごととしか捉えてなかった気がするから。「ちょっと考えればすぐ判ること」なのに、ちっとも考えたことがなかったから。