乙一作品が好きだと告白したとき、ゆずるちゃんに「意外」と言われたことがありました。彼女の乙一体験は、アンソロジーの方で『SEVEN ROOMS』を読んですごく怖かったこと、みたいなので……普段の会話でちょっとでも血を見る話(怪我の話とか)になるとうぎゃー痛い痛いと耳をふさぐわたしが、乙一好きなのは意外に思えたのかも。
 でも『GOTH』とか『暗黒童話』とか、グロいところは読むのきつかったけれど、乙一さんの文章だから読めた、というのもあると思う……。乙一作品の中でどれが好きかと言われると、すごく迷って『しあわせは子猫のかたち』とか『暗いところで待ち合わせ』とか挙げちゃうのだけれど、「黒乙一」に分類される作品が嫌いなわけじゃないのです。むしろ大好きなのです。うまく言葉にできないけれど、黒・白関係なく根底に流れているものがある気がして、それに惹かれる。