三浦しをん 『乙女なげやり』 太田出版

 『妄想炸裂』と『乙女なげやり』、2冊続けて読みました。

乙女なげやり

乙女なげやり

 清水玲子『秘密』のあおり文句について語られている章「自分を止めてあげたい」から引用。

 あおり文句が「少女まんがの枠を超えた傑作」なのだ!それは……褒め言葉なのか?(中略)このチラシの文言では、「少女まんがの枠を超え」ることがすなわち「すごいこと」のように受け取れる。
 もちろん、チラシが言いたかったのは、「ストーリーの水準が極めて高く(中略)大人の鑑賞に堪えうる作品ですよ」ということなのだろう。だがそりゃあ、ふとい間違いだ。
(中略)そもそも(ああー、少女漫画のことになるとすぐに熱くなって、「そもそも」とか言い出しちゃう)、「少女漫画」というのは昔っから、取り扱うテーマは多岐にわたり、登場人物の年齢性別も多彩で、大人の鑑賞に堪えうるものがたくさんあった。読者層の大部分を実質的に少女が占めてきたのだとしても、作品の内容はすべての人に開かれていたのだ。(P.37)

 わかるー、とじたばたしてしまいました。ええとですね、「少女漫画」「少女まんが」の部分を「児童書」あるいは「児童文学」に、「少女」を「子ども」に置き換えると、あさのあつこ『バッテリー』に「これは本当に児童書なのか!?」というあおり文句がついていた時のわたしの気持ちになります(乱暴だ……自分に都合よく改ざんしすぎだ)。