氷の海のガレオン
- 作者: 木地雅映子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1994/10
- メディア: 単行本
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ええと、自分が言葉にできなかった気持ちを、代わりに言葉にしてくれた、と感じるほど、共感レベルが高かったわけじゃない。でも、ええと、なんて言えばいいのかな。
『氷の海のガレオン』の杉子は小学六年生、『天上の大陸』の美福は中学生、『薬草使い』の祥子は高校生。主人公の少女たちと同じくらいの年齢だった頃に、言葉にできずに抱えていた気持ちの断片が、物語の中に見えた気がしました。
怒っちゃいけない。町の子供はみんなばかなんだから、目に見えることしか信じられないし、ろくなもの見てないんだから。そのうちこの国と一緒に滅んじゃうんだからって思うの。かわいそうだから、許してあげようって。
でも、また次にはね、そんなこと考えてる、わたしは一体なんなんだって思うの。
みんなとわたしの違いってなんなんだって思うの。
だって、生意気だよね、そういうの。かみさまにだってきらわれそうな気がしちゃうよね。
そうなるともう、世の中でいちばんわるいのは、実はわたしかも知れない、とか思うの。
それでどんどんかなしくなって、涙出そうになるんだけど、泣いたりしたら、よけいに何か言われちゃうでしょ、それで、またおんなじ気持ちの繰り返しでしょう。
そのうちそれがどんどんどんどんおおきくなって、もう、体中いっぱいになって、なに考えてるかもわからなくなるの。(P126-127)