荻原規子・上橋菜穂子・小野不由美(先月mixiに書いた文章の転載)

 ものすごく見当違いなことを言っているかもしれないし自信がないし、でも言わずにいられないので書きます。


 『狐笛のかなた』(上橋菜穂子新潮文庫)に寄せられた金原瑞人さんの解説文に、違和感を抱いてしまう箇所がいくつかありました。そのうちのひとつについて書きます。以下引用。

荻原規子小野不由美上橋菜穂子の三人は、日本の女性ファンタジー作家、三羽鴉だよね(中略)それはともかく、この三人、それぞれに特徴があって、読者の好みは様々に分かれるだろう。が、筆力、膂力、迫力、という点では、上橋さんの作品が突出している」

 ……ええとですね。「筆力、膂力、迫力」で「上橋さんの作品が突出している」と言ってしまうと、まるで荻原さんや小野さんが筆力不足みたいに聞こえるじゃないか……!と思ってしまったわけです(解説文の流れからして、筆者がそういう意図でこんな言い方をしたわけじゃないだろうとは思うのですが、どうしても気になる)。

 ここからわたし自身の勝手な印象を述べますが。この三人を並べるならば、上橋さんの文章はいちばん素朴な味わいだと思います。飾り気がない、というか。言葉遣いが平易で。
 「言葉遣いが平易」というと荻原規子さんもそうだけれど、上橋さんが「簡素」なら荻原さんは「端正」だなあ、と思う。華がある感じ。
 小野さんの文章は他の二人に比べると難しい言い回しも多用していて、それが効果的に働いていて、重厚な感じがする……これは、この解説の中で挙げられている作品「十二国記」を読んでの評価ですが。あ、同じく解説の中で言及されている荻原規子勾玉三部作」、上橋菜穂子守り人シリーズ」は、児童書として出版されたものだけれど、十二国記は最初ライトノベルとして世に出たものだという違いもあるのかな。


 ……と、とにかく、「筆力、膂力、迫力、という点では、上橋さんの作品が突出している」という言い回しに納得がいかない、という話でした(無駄に長くてぐだぐだだ…)

狐笛のかなた (新潮文庫)

狐笛のかなた (新潮文庫)