ケストナー 池田香代子訳 『飛ぶ教室』 岩波少年文庫

飛ぶ教室 (岩波少年文庫)

飛ぶ教室 (岩波少年文庫)

 どうしておとなは、自分の子どものころをすっかり忘れてしまい、子どもたちにはときには悲しいことやみじめなことだってあるということを、ある日とつぜん、まったく理解できなくなってしまうのだろう。(P.19)

 寄宿学校の男の子たちから「禁煙さん」と呼ばれているおじさんがとっても魅力的でした。「お役ごめんになった客車」の中に住んでいて、小さな庭の世話が一段落すると、草の上に寝そべって本を読み、夜は酒場でピアノを弾く、という暮らしをしている禁煙さん。「本ならどっさりもっていた」というところにかなりときめきました。