小谷真理 『ハリー・ポッターをばっちり読み解く7つの鍵』 平凡社

 なんと、百人いたら感想は百通り以上あるということ。
 この人、なんておもしろい意見をもっているのかしらと好奇心をいだくこともあれば、この人、わたしとぜんぜん違う世界観のなかで毎日を送っているんだなぁと驚いたりします。そういうふうに考えたりする人だなんて、まったく気がつかなかった、とかね。いろいろな発見があるんです。
 これはきっと、物語に触発されると、自分の経験などが思い出され、その体験にてらしあわせて、みんな、さまざまなことを考えるからでしょう。
 で、いろいろな意見を聞いていると、物語のなかで、自分がぜんぜん気がつかなかった部分が、がぜんおもしろくなってきたりする!物語のなかにいろいろな迷路がしかけてあることがわかってきます。これも楽しい。
 考えてみれば、こういう発見も、すぐれた物語につつかれて飛びだしてきた感想……というより、それじたい物語のひとつなのでしょう。どんな小さなエピソードにも、物語ってひそんでいますから。(P.8-9)

 年少の読者にもわかりやすいようにと、かみくだいた言葉で書かれた評論です。

赤毛伝説

  • 西洋の歴史では、「赤毛」は特別な存在(道化、裏切り者、魔術的な意味合い、などなど)を表すシンボル
  • ラファエル前派と呼ばれる画家たちが好んで描いた赤毛の美女(聖書、アーサー王伝説ギリシャ神話、シェイクスピアの作品に登場する、女神・魔女・姫)
  • 「十九世紀後半といえば、どの時代よりも道徳観念が強い時代でしたが、文学や芸術の世界で描かれる、こうした伝説のなかの女神や魔女や怪物は、現実のかたくるしさをぬぎすてた、奔放で美しい女性として描かれることが多かったのです(P.40)」