日日日 『ちーちゃんは悠久の向こう』 新風舎文庫

ちーちゃんは悠久の向こう (新風舎文庫)

ちーちゃんは悠久の向こう (新風舎文庫)

 繰り返し出てきた「あなたと私は異世界の住人だわ」って言い回しが気になって仕方なかった。これ、意味としては「あなたと私は違う世界の住人」なのは推測できるけれど……「あなたと私は異世界の住人」だと、二人して異世界に住んでるような気がしませんか……。
 (出たのが2年半前の本だし、既にどこかで指摘されてそうだ)

 両親と顔を合わせるのを徹底的に避けざるをえない生活を送っているモンちゃんこと久野悠斗と、彼をそれとなく助けてくれるちーちゃんこと歌島千草。元々、幽霊・妖怪の類が大好きなちーちゃんでしたが、ある事件をきっかけに彼女は「壊れている」と周囲に認められるような人間に変わっていきます。「修理屋を呼んでください」「僕の日常を修理してください」と彼がどんなに願っても、日常が元通りになることはなく、後戻りはできないままびっくりのラストを迎えます。モンちゃん自身が持つ酷薄さもがんがん暴かれる展開でした。おもしろかったです。