「個性的」という言葉

いま私たちが考えるべきこと (新潮文庫)

いま私たちが考えるべきこと (新潮文庫)

「個性」という言葉は広く社会に浸透しているのであるが、この人間の出合う個性とは、「自分とは違う質の他人が持っている、自分には理解できないへんな部分」である。それを「へん」として拒絶しないのが、「個性の容認」である。つまり、個性とは「拒絶の一歩手前の容認」で、その人間の理解する「個性的」とは、「それ以上言語化される必要のない異物感、違和感」なのである。(P.214-215)

「個性的」という言葉をほめ言葉だと誤解している人間はいくらでもいるが、しかし、「個性的」にならざるをえなかった人間にすれば、「個性的」という言葉は、「差別になる一歩手前で踏み止まった、侮蔑を曖昧にする止揚表現」でしかないのである。(P.217)

 「個性的」という言葉に抱いていた違和感が、きっちり言語化されててすっきりしました。