江國香織

 今、江國香織の作品を取り上げている授業がある影響で、手持ちの江國香織詩集『すみれの花の砂糖づけ』をぱらぱらと読み返してみた。

 あなたは私の子どもでもつくるべきだったのであって
 子どものあたしに手を出すべきじゃなかった

 ……印象的な言葉は、しばらく頭の中にとりついて離れなかったり、する。

 江國さんの小説に関しては、「経済的な苦労」があんまり出てこない(作品によっては出てくるけれど)ところとか、「ボーイフレンドっていいわよね。いるあいだはたのしいし、いなくなるときもちがいい」(『流しのしたの骨』より)とかいう台詞がぽんと出てくるところとか、自分とは程遠くて、おとぎばなしみたいで……それを楽しめる時と、なんだか寂しくなってしまう時があるのでした。

 中高生の頃は、掛け値なしに「言葉の遣い方が好き」と江國香織を評していた気がするけれど、最近そうでもなくなってきたというか、複雑化してきたというか、なんというか。