石井睦美 『群青の空に薄荷の匂い 焼菓子の後に』 ピュアフル文庫

群青の空に薄荷の匂い―焼菓子の後に (ピュアフル文庫)

群青の空に薄荷の匂い―焼菓子の後に (ピュアフル文庫)

 読むのがもったいなかったのだけれど、やっぱり我慢できなくて読んでしまった。

 中一の四月のはじめに菜穂と出会って、そしてわたしたちはこころの奥にしまってあるものも話せるくらいの友達になった。こころのなかにあっても言えなくて、でもそれをずっとこころに溜めこんでおくと、こころもからだも蝕まれてしまうのだとじぶんでもわかるそんなもの、わかっているからといって、おいそれと吐き出すことができるようなものじゃないそんなものを、伝えられるくらいの友達になったのだ。(P.111)

 『卵と小麦粉それからマドレーヌ』は、中学生になったばかりの菜穂が語り手の、菜穂自身の物語でした。最初は「やなやつ」と思っていた同級生の亜矢と、とても仲のいい友達になったり、母親が突然「フランスに留学する」と宣言したことをうまく受け入れられなかったり。
 『群青の空に薄荷の匂い』は、それから三年後。語り手は菜穂の友達、亜矢です。『卵と小麦粉〜』の時の菜穂からすると、両親の離婚やいじめを経験している亜矢は、同い年の友達でありながら、しっかりした先輩格の相談相手でもありました。そんな亜矢の物語が、今度は亜矢自身の言葉で語られていきます。

 ああ、もう、いいなあ。高校生になっても仲良しの二人にまた会えて嬉しかったです。「丁寧につづられる女の子の日常がいい」とか、言葉にするとありきたりにしかならないけれど、ほんとにほんとに、好き。

 あと、1月10日発売の新刊予告を見てびっくりしてしまった。

さとうまきこ『4つの初めて物語』

 ささささとうまきこ……!ピュアフル文庫の人選はわたしにとってツボすぎます。嬉しすぎます。わーい。でも、ポプラ社から単行本が出ているのだから、ピュアフルで文庫化されるのは当然のことなのか。
 さとうまきこ『ハッピーバースデー』は、ピュアフル文庫で復刊されたりしないかなー。