岡田淳 『ふしぎな木の実の料理法』 理論社
- 作者: 岡田淳
- 出版社/メーカー: 理論社
- 発売日: 1994/12/01
- メディア: 単行本
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コートのフードをかぶって、ひとり粉雪のなかを歩きながら、もうたくさんだとスキッパーは思いました。
せっかく練習していったのに、会話はまるでうまくいかなかったのです。(P.105)
一緒に住んでいる博物学者バーバさんが旅に出て以来、ひとりで暮らしていた少年スキッパーの元へ、ふしぎな木の実と手紙が届けられます。手紙には木の実の料理法が書いてあったようですが、とある事情から一部がにじんで読めなくなってしまっていました。しかたなく、判読できる「つくりかたは……さんにたずねるとわかるでしょう」という部分を頼りに、こそあどの森の住人たちの家を訪ね歩くことになるのですが、ひとりで本を読んだり化石を眺めたりするのが好きで、自分から人を訪ねたことがなかったスキッパーにとって、それは気軽にできることではないのでした。おっくうになったりぐったりしたり、ドアの前まで来てためらったり。
そんなスキッパーの心の動きに共感できてしまう自分がいるよう……。