「父に」

 夜中にぱっちり目がさめて困ったので、ごそごそ起きだして江國香織詩集『すみれの花の砂糖づけ』を読み返してみた。
 読む時期によって目に留まる言葉は違ったりするけれど、「父に」は初めて読んだ時から今に至るまでずっと好き。以下一部抜粋。

病院という
白い四角いとうふみたいな場所で
あなたのいのちがすこしずつ削られていくあいだ
私はおとこの腕の中にいました

煙草をすいたいと言ったあなたにも
ほんとうは
じゃあもうすっちゃいなよ

言ってあげたかった
きっともうじき死んじゃうんだから
と。
言えなかったけど。


ごめんね。