ツ、イ、ラ、ク(姫野カオルコ)
- 作者: 姫野カオルコ
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2003/10/23
- メディア: 単行本
- 購入: 2人 クリック: 14回
- この商品を含むブログ (115件) を見る
帯に"恋愛小説"とあるのを見て、最初の小学生時代のシーンを"ここはプロローグなんだな"と思う方がいるようなんです。恋愛小説なのだから大人が主人公に決まっていると思い込んで。けど、それ、間違いですね。あとがきにも書きましたが、小学生でも大人でも恋愛の感情は一緒。というより、むしろ小学生のほうが生々しいし、いやらしい。子どもって、大人と違っていろんなしがらみがないぶん、性欲もむき出しですから。で、中学生になると、それに"好き…"というプラトニックな部分が加わる。大人になるとさらにプラトニック面というより、経済状態とか立場とか、相手そのもの以外の状況も考慮しての人選意識が強くなる。私は、この物語を、そういうグラデーションに構成したのです。
分厚かったけれど、途中で止められなくて一気に読んでしまいました。小中学生、「女子」と「男子」だった頃のグループ編成、教室にあったルール、そして恋愛模様が恥ずかしいほど克明に描き出されて、読んでいる方が赤くなったり残酷さにどきりとしたり、訪れるできごとひとつひとつに、そこらの壁を叩きたくなるくらい切なくなったり、いとおしい気持ちがわきあがってきたりしました。
「忘れられなかった。どんなに忘れようとしても。ずっと」という言葉が読んだ後も色濃く残っています。