リトル・バイ・リトル(島本理生)

リトル・バイ・リトル

リトル・バイ・リトル

 完全に割り切るというわけにはいかないが、それでも仕方がないという言葉の前に消えていく感情がたしかにある。(P106)

 淡々と主人公が送る日々が綴られているけれど、ときどき発せられる、はっとするような言葉にはちゃんと裏打ちされるものがあって、だからこその重みがあって。すぅーっと読めました。

「どんな言葉にも言ってしまうと魂が宿るんだよ。言霊って言うのは嘘じゃない。書道だって同じことで、書いた瞬間から言葉の力は紙の上で生きてくる。そして、書いた本人にもちゃんと影響するんだよ」(P111)

 習字教室の柳先生とその奥さんの関係が良いなぁ。こんな夫婦って憧れます。