入試の日

 わたしが受けたのは「姉妹校推薦入試」で、受験生はみんな校歌も校訓も制服もおんなじな、全国にいくつかある姉妹校の人たちなのです。なので、駅から大学へ歩く道々、同じ制服を着た女の子をいっぱい見かけました〜。


 ・・・でもみんな同じ学校の人同士で話していたので、ちょっとさみしくなりました・・・うちの学校からこの大学受けるのってわたしひとりだけだっけんね・・・。


 ・・・まあ姉妹校の中でいちばん規模のちっちゃい学校だし、仕方ないのですが。・・・他の姉妹校は幼稚園・小学校・中学校・高校とくっついてるところが多いのだけれど、うちの学校は幼稚園と高校しか無いですし。


 そんなことを考えつつ大学へ。受付でもらった「推薦入学選考 受験生のみなさんへ」というプリントに「教室内及び校内移動中の私語は厳禁です」とあったので、控え室はすごーく静かでした。予想される質問とか、それに対する答えなどを書きつけた面接の練習ノートは一応広げてみたけれど頭に入りませんでした・・・。


 受験生みんなへの「学長挨拶」の前に、いろいろ説明をしてくださった先生のあいさつが「ごきげんよう」で、受験生側からも「ごきげんよう」と返すのにちょっとだけわくわくしました。他の姉妹校ではあいさつに「ごきげんよう」を使うこともあると聞いてはいたけれど、うちの学校は使わないので(この話、だいぶ前にも書きましたが)、なんだか新鮮な感じでした(笑)。
 「受験番号1番の人から順番に面接するとは限りません。4番などの番号の人から先にするということもありえます」と説明されてちょっとびくつきました。


 学長挨拶の後は、職員さんの案内にしたがって学科ごとに違う控え室に移動しました。いよいよ個別面接だ・・・とさらに緊張してもいいはずなのですが、ずっと緊張しきっていてそういう段階がすぎたのか変に気がぬけた感じになっていました。
 わたしが受ける学科は、受験の段階から「児童文学・文化専攻」と「発達心理学専攻」に分かれています(わたしの志望は児童文学・文化専攻)。とうとう個人面接の始まる時間になると、「それでは発達心理学専攻の方から面接を始めます」と、最初に発達心理学の方の名前を呼ばれたので、「あ、発達心理学の人が終わってから、児童文学のほうに回ってくるのかな」「じゃあけっこうわたしの番になるまで時間かかるかな」とぼんやり思った約10分後。次に名前を呼ばれたのは。



 「児童文学・文化4番の柊ちほさーん」



 ・・・ふぇっ!?わたしーっ!?

 どどどどういう基準で決められてるんだこの順番、と思いながら面接室へ。緊張度急激アップ(笑)。で、本番。

 児童文学が好き、みたいなことを志望理由の中で言ったので、「児童文学といっても、人によってイメージするものはさまざまだと思いますが、好きな作家さんなどはいますか」と訊かれた時には心の中で「よっしゃこれなら喋れるかも!」とつぶやきました。普段から自他共に認める「本の話になると口数が多くなる人」なので(笑)。
 ちなみにその質問には梨木香歩さんと荻原規子さん、と答えました。その後梨木香歩さんの作品でいちばん好きなのはどれですか、とかどういうところが好きですか、とか梨木さん関連の質問が続きました。たぶんこれにはちゃんと答えられたと思いますっ(笑)。

 で、「児童向け以外の作品で、印象に残ったものはありますか」という質問になった時に、島本理生さんの『ナラタージュ』と答えて、どうでしたかと感想を訊かれたのですが・・・どうしよう、まさか大学受験の面接で「応えられないってわかってるなら最初から触れたりしないでよって思いました」なんて言えないし、と言葉を探していたら、「けっこう正統派の恋愛小説ですが、恋愛小説はよく読まれますか」と次の質問に移られてしまいました・・・・・・わたしのばかーっ。黙りこんでどうするよっ。ラストに泣きそうになったとか、こういう言葉が心に残りました、とか言えることは他にもあるでしょーがーっ。
 下手でも拙くてもいいから何か言わなくちゃいけない場合でも、「上手に言おう」として結局黙ってしまうのはわたしの悪癖です。だめだなぁもう・・・


 特にとりえも何にもない自分なんだし、そういう自分なりにやるしかないのに、実際以上に自分を「良く見せよう」って意識が働きすぎるきらいがあるなあわたし、と再確認しました。


 その他にもあれは言葉遣いおかしくなかったかなーとかあれは余計だったかなーとか考えて、頭の中で反省会中。反省会というより「『後の祭り』開催中」というような感じですが。