いつか記憶からこぼれおちるとしても(江國香織)/朝日新聞社

いつか記憶からこぼれおちるとしても

いつか記憶からこぼれおちるとしても

 私立の女子校に通うさまざまな女の子たちが登場します。「この子に私の人生はわからない」と思う、「うらやましいとかじゃないけど、随分ちがうなー」と思う、当たり前なのに少し悲しくなる瞬間や、無邪気だったり危うかったり残酷だったりする、いろんな女の子の生活の一コマが描かれます。
 章ごとに語り手が変わって、この子は友達からどう見られていたのか、脇役だったこの子はこんなことを考えていたのかなどと、いろいろな視点で眺められるつくりになっています。
 欲を言えば、高野さん視点のお話があれば読みたかったな、と思います。