ぐるりのこと(梨木香歩)/新潮社

ぐるりのこと

ぐるりのこと

自分の今いる場所からこの足で歩いて行く、一歩一歩確かめながら、そういう自分のぐるりのことを書こう、と、私はこの連載のタイトルを決めたのだった。(P.93)

 「考える人」2002年夏号から2004年秋号に連載されたものをまとめたエッセイ本です。梨木香歩さんの本を読むと、「ちゃんと生きよう」という気持ちになります。この場合のちゃんと、というのは、漫然と流れていってしまいがちな身の回りのできごとや、自分自身の言動を、きちんと意識してみるということ。

その人の周りの環境が、その人を取り巻く様々な人間ごと、その人の生きてゆく場所の自然条件となり、人はそれに立ち向かい、或いはそれを利用して、生きてゆくのだ。(P.164)