精霊の守り人(上橋菜穂子)/偕成社

精霊の守り人 (偕成社ワンダーランド)

精霊の守り人 (偕成社ワンダーランド)

「……刃をとげば、切れ味はよくなる。確実にね。こんなふうに、すべての物事のつじつまがあえば、いいんだけどね。」
(中略)
「やさしく、おだやかに生きてきた人が、ぶらぶら親のすねをかじって生きてきたバカ野郎に殺されることもある。この世に、公平なんて、もとからありゃしないのさ。」

 …「この世に、公平なんて、もとからありゃしない」なんて、当たり前といえば、当たり前だろうけれど。小学校って(小学校に限らないかな。学校、かな)「努力すれば結果はついてきます」「世の中は公平でなければなりません」と教えられる場所であったように記憶しているので、これが一応「小学校中学年向け」の本であることを考えると、作中でこうも言い切られているのは、なんだかとってもすごいことのような気がするのでした。


 …もっとも、わたしがこの本を最初に読んだのは、中学生の時でしたが。図書室にあった『精霊の守り人』『闇の守り人』を読んで、この奥行きの深い物語に夢中になって、高校生になってから「小学校中学年向け」であることを知ってびっくりした覚えがあります(笑)。