上橋菜穂子 『狐笛のかなた』 新潮文庫
- 作者: 上橋菜穂子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/11/28
- メディア: 文庫
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文庫版で、どうしても気になって気になって仕方がないのが、裏表紙の紹介文。
小夜と野火の、孤独でけなげな愛が燃え上がる…愛のために身を捨てたとき、もう恐ろしいものは何もない。
……いや……間違ってはいないと思うのですが……うーん、ちょっぴり違う気がする。
上橋菜穂子作品に一貫して描かれているのは、「自分のせいではないことで苦しめられ、やり場のない思いを抱えながらも、生きていくしかない人々の姿」で……その中で生まれるそれぞれの想いの中にはもちろん「愛」も含まれるのだけれど、その部分が強調されていることに違和感があるのでした。