上橋菜穂子 『狐笛のかなた』 新潮文庫

狐笛のかなた (新潮文庫)

狐笛のかなた (新潮文庫)

 オフ会でジュンク堂に行ったときに買いました。(単行本も、持っているのですが)
 文庫版で、どうしても気になって気になって仕方がないのが、裏表紙の紹介文。

小夜と野火の、孤独でけなげな愛が燃え上がる…愛のために身を捨てたとき、もう恐ろしいものは何もない。

 ……いや……間違ってはいないと思うのですが……うーん、ちょっぴり違う気がする。
 上橋菜穂子作品に一貫して描かれているのは、「自分のせいではないことで苦しめられ、やり場のない思いを抱えながらも、生きていくしかない人々の姿」で……その中で生まれるそれぞれの想いの中にはもちろん「愛」も含まれるのだけれど、その部分が強調されていることに違和感があるのでした。