「受験」という言葉を聞くと思い出すものごと。

 高校受験のこと。とにかく共学に行きたくなかったわたしは、市内ではいちばんの公立進学校に一応行ける成績なんだからそっちを受けろという父親の意見にまったく耳を貸しませんでした。「公立が一番。私立は落ちた人間が行くところ」という地元の風潮に反発したい反抗期なお年頃だったせいもあって、盛大にごねました。「某私立女子高の進学コースなら授業料半分だけん、公立とそんなに変わらんしよかでしょ」と主張して、両者一歩もゆずらず1月になってもまだもめてました……。あげくのはてにわたしが「公立受けさせるなら解答用紙白紙で出す」とのたまって、それはやめろと担任の先生に真剣になだめられました……(思い出すたび周りに迷惑かけたなあ、と申し訳なくなる)。

 今思うとなんであんなに父親の言うことなすことに反発したのかわからない(ちなみに母親は、地元の高校のことは他県出身の自分よりそこで生まれ育った父親の方がよくわかってるだろうと、あんまり口出ししなかった)。思春期とか反抗期とか言ってしまえばそれまでだけれど。望んだとおりに育てなくてごめんなさいという気持ちと、望みどおりになりたくない、反発したい気持ちが入り混じってぐちゃぐちゃだった。

 結局、自分の意見を押し通して私立女子高に入学したことが、推薦で今の大学に入ったことにつながってくるのでして(大学受験のとき、親があんまり口出ししなかったのは、高校受験のもめごとにうんざりしたからではないか、と勘繰っている)。それを後悔する気持ちはないけれど、ときどき、「お父さんの望んだ道から大きく外れてしまってごめんなさい」って気持ちもわいてくる。