北村薫 『夜の蝉』 創元推理文庫

夜の蝉 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)

夜の蝉 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)

 再読本。

 また善人(犬)が誤解され非難されるという部分に来ると《ああ、私の嫌いなパターンだ》と思ってやり切れなかった。しかもそれが繰り返されるのだからたまらない。テレビの連続ものに時として出てくるこの手のいらいらは、私の最も嫌いなものなのである。(P.194)

 この部分に、「わかるわかる」とばしばし机を叩きたくなったのです。嫌い、だと言い切りはしないけれど、苦手。誤解される苦しさを目撃すると、めちゃくちゃ気持ちが掻き乱されるので、嫌なのです。「ああもう違うんだったら」とじたばたしたくなる……。