森見登美彦 『きつねのはなし』 新潮社
- 作者: 森見登美彦
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/10/28
- メディア: 単行本
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昔はね、僕はうまく喋ることができなかった。人と喋ろうとしてもすぐ言葉に詰まる。それがなぜなのか、よく分からなかった。ただ自分の言葉が、嘘くさいんだ。嘘くさくて白々しくて、耐え難いんだ。大学に入ってからもひどくなる一方で、喋ることができない。それで人に会うのが嫌になって、下宿に籠もるようになったんだ。(P.124)
収録作品:『きつねのはなし』 『果実の中の龍』 『魔』 『水神』