美人だったら言ってみたい

人生激場 (新潮文庫)

人生激場 (新潮文庫)

 三浦しをんさんの友人J子さんのエピソードを引用。(文庫化に際し加筆した部分)

 J子は先日、新宿でキャッチセールスの兄ちゃんに声をかけられたそうだ。
「けっこうです」の意をこめて、ちょっと会釈して通り過ぎようとしたところ、兄ちゃんは「ブス!」と吐き捨てた。J子はピタッと立ち止まり、まわれ右してツカツカと兄ちゃんの前に戻ると、「本当にそう思うの?」と問いただした。ちなみにJ子は、滅多にいないほどの美人だ。
「なんだよ、うぜえなあ」と、たじろぐ兄ちゃんを、「人を傷つけるようなことを言うのはやめてちょうだい」とJ子は穏やかかつ厳しく諭したという。
 やっぱりいい女だな、と思う次第だ。(P.198)

 か、かっこいー。「本当にそう思うの?」って真面目に問いただしてみたい!美人だったら!
 もしわたしが「ブス」なんて面と向かって言われたら、すごすごと引き下がって「わかってるよ本人が一番よくわかってるよ何もズバズバと本当のことを言うことないじゃないか」とぶつぶつ心の中でつぶやきつつ数日間部屋に引きこもってしまうよ。……とか言いつつおもしろい本読んでお菓子食べたら翌日にはけろっとしてそうだけれど。