よしもとばなな『キッチン』収録 「ムーンライト・シャドウ」

キッチン (角川文庫)

キッチン (角川文庫)

「うん、一度家に帰ってから。みんなで久々に集まるんだ。」
「よろしくね。でも、どうせ男ばっかりでやらしい話するんでしょう。」
 私が言うと、
「そうだよー。悪いか?」
 と彼は笑った。
(中略)
「あ、でも君のことは絶対、変なふうにゆわないから。」
 思い出したように等がそう言ったのがおかしく、私は自分のマフラーに顔を埋めて笑いをこらえた。四年もいて、こんなに好きだなんて不思議なこともあるものだと私はその時思っていた。(P.177)

 冬のまっただなかに読みたくなる話。この回想シーンは何度読んでもきゅんきゅんする。

 実際はこんな男性なかなかいませんとか言われたら、わかってますって言ってそっぽ向いてやるーっ……と、そこまで考えてしまうのでした。