恋愛資源、ってなんか新鮮な言葉

古道具 中野商店 (新潮文庫)

古道具 中野商店 (新潮文庫)

石油だって無尽蔵じゃないんだから、とわたしは思う。ましてやわたしの恋愛資源なんて、ものすごく乏しいのに、こんなに黙られてちゃあ。(P.211)

「恋愛資源」って言葉がやけに新鮮だった。うん、わたしもきっとものすごく乏しいんだろうな、それ。

そりゃ、怖いよ。わたしだって、怖いんだよ。タケオが怖いよ。待つことも怖いよ。田所だって中野さんだってマサヨさんだってサキ子さんだって、お鶴さまでさえ、怖いもの。自分自身のことなんか、もっと怖い。そんなの、あたりまえじゃない。
 そう言おうと思ったが、言えなかった。わたしの怖いと、タケオの怖いは、きっと違うものだから。(P.211-212)

今わたしがタケオに思っていることと、タケオがわたしに今思っていることは、ものすごくかけ離れた、違うことなんだろうな、と思った。その離れかたを思うと、めまいがした。(P.212-213)

 ドラマなんかで「(私は)(あなたと)同じ気持ちだよ」って類の台詞を耳にするたび違和感を抱いてて、「同じ気持ち」なんて存在するのかなあってもやもやしてたんですが、そういうもやもやの中身をしっかり言い当てられた気がしました。