山本文緒 『恋愛中毒』 角川文庫

恋愛中毒 (角川文庫)

恋愛中毒 (角川文庫)

 久しぶりに読み返したら、角田光代『愛がなんだ』に通じるものがあるように思った。行き過ぎてストーカーめいた(もしくは、それそのものの)行動をしてしまう女性が登場する、という点で。でもなんだか『愛がなんだ』の方が軽妙な感じがする。それは、文章の感じとか主人公のストーカー度の差もあるけれど、登場人物の呼称にも因る気がした。『愛がなんだ』は「マモちゃん」とか「テルちゃん」とか、なんかかるーい感じのする呼称の方が多かったけれど、『恋愛中毒』は「先生」「水無月さん」「陽子」「千花」とあだ名でない呼び方の方が多かったから。